死にゆく父

容態の悪化

3月の中旬になると肺の状態が少し良くなってきたため、その前の入院の原因だった血栓が再びできないよう、血をサラサラにする薬を投与するという医師の説明がありました。
現役時代に金融機関に勤めていた父は自宅・会社問わず煙草を吸うヘビースモーカーでした。
定年が近くなる頃には喫煙の弊害が問題になっていて、タバコをやめていましたが、長年の喫煙の影響は肺を蝕み、肺線維症、間質性肺炎で肺活量は10%程度まで落ち込んでいました。今回の入院もその延長です。
また、ちょくちょく血栓ができて軽い脳梗塞や手足のマヒで入院していたため、現在の投薬では血の粘度が上がり再発のリスクがあるという事で、その対処に取り掛かるべき時だと医師は判断したのでしょう。
慎重に投薬量を増やすこととなりましたが、3月の下旬に差し掛かるころ、母から「肺から出血して危険な状態になって家族を呼ぶように言われた」と連絡が入ったため、病院に急行しました。
その後投薬スケジュールを元に戻してチャンスを待つことになりましたが、気管切開して人工呼吸器をつないだり、徐々に状態は悪くなっていきました。
やがて小康状態となると筆談で母やリハビリの先生と意思疎通をしたりして病室とICUを行き来する生活をしていました。
しかし濃い濃度の酸素と、それでも100%にならない血中酸素の表示を見ながら、漠然と父の死を意識し受け入れていく自分が居て、親の死にも平然としている自分が冷たい人間だと嫌になったりしていました。

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